一橋大学キリスト教青年会

理事長 挨拶

一橋大学基督教の理事長

一橋大学基督教青年会は、

1887年、一橋大学の前身である東京高等商業学校において、キリスト教を学びその精神を実践する活動青年会として組織され、2022年には創立135年を迎えます。
時は同じ頃、1年後の1888年には東京大学学生キリスト教青年会をはじめ学生YMCA会の組織化が各大学において始まりました。

明治維新から丁度20年が経過し、欧米近代制度、科学、哲学、文学、社会思想等を学ぶ中で、欧米近代化の土台に大きな影響を与えたキリスト教への関心は非常に高いものがあり、現代においてもそれは変わらない重要な視点です。

勿論、欧米の大学、例えば英国のOxford大学やCambridge大学は、20以上のCollegeの集合体として、Universityを形成していることは皆様が良くご存じです。
が、そのUniversityを形成する個別のCollege、Christ CollegeとかKings Collegeは全寮制であり、もとは国王や女王の支援によって設立されたキリスト教を学ぶ神学校でした。

それぞれのcollegeにはchapelがあって、聖歌隊が組織され、現在でも日夜礼拝が行われているのですから、大学にキリスト教を学ぶクラブ組織があることは、極めて日本的な事象であるとは言え、明治の先学の慧眼と申せましょう。

国立市の近郊

私たち一橋大学基督教青年会は、その後、米国YMCAの支援もあって、独自の寮舎、YMCA一橋寮を設立し、茗荷谷、中野と変遷しながら、昭和初期に現在の国立市東1丁目に寮舎を移転しております。


また、当青年会は、

2016年9月1日に公益財団法人としての認可を受け、当会会員約200名と学生16名からなる会員により運営されております。

寄宿舎の内部の日常的な運営は、伝統的に入寮生の選考から諸行事まで、寮生の自治を旨とし企画・実行されておりますが、当会の特徴の一つは、寮生とOB会員との交流を様々な形で実施しており、学生時代のみならず、卒業後も当会に所属することにより、キリスト教と聖書、及びリベラル・アーツ一般を学ぶことをとうして日本及び世界をリードできる優れた人材育成を行うことを最大の事業目的としています。

聖職の道、学者の道及びビジネスの世界、いずれの道を進むにしろ、一番大事なことは精神的な素養、言い換えると教養こそが求められる最大の人材価値であり、そのために当会ではキリスト教を中心とするリベラル・アーツ全般を学ぶ機会を提供しております。

ひとつばしYMCA学生寮 また、1年生から4年生までの先輩後輩を通じての寮生活における共同生活では、それぞれが寮の自治及び行事などの活動に対する役割分担を行うことにより、お互いが切磋琢磨し、人間力の向上と友愛の精神が育まれ、寮生活は学生時代の大きな賜物となって、その後の人生の指針なり、良き思い出として、人格形成に大きな影響とを与えるものとなっています。

私個人の話で恐縮ですが、

1969年に都立新宿高等学校を卒業し、一橋大学の経済学部に入学し、東京世田谷区の自宅から暫く通学していましたが、1年生の暮れのクリスマス近くに、入寮の補欠募集の張り紙を見て、入寮選考に応募し、無事入寮を許されて、その後の3年3か月に及ぶ寮生活を通じて、聖書とキリスト教に親しみ、大学3年生の復活祭の時にクリスチャンとしての洗礼を受け、その後の私自身の人生に大きな影響を与えられたのがこのYMCA一橋寮でした。

この寮での聖書研究会において、最初に印象深く学んだことは、「神を恐れることは知恵の始まりである」こと、「神を恐れ、人を恐れるなかれ」、「神は愛である」、「愛するものは復活し、永遠の命に至る」というイエスの言葉でした。

キリスト教は優れて言葉の宗教ですが、また、優れて霊的な宗教であり、友愛と祈りを通じて、精霊の働きを通じて感得するものであり、理性のみでは体得しえないものです。

その意味から、教会生活なり寮生活での共同生活での霊的な交わりなくして、体得されうるものではないと言えましょう。 そうした霊的な交わりを当寮が与えてくれたことが、私の場合、キリスト教徒になる最大の要因であったと思います。

勿論、キリスト教信者になる、ならないは寮生の自由であり、何ら強制されるものではありませんし、クリスチャンになる、ならない、を超えて、共同生活を通じての精神的交遊により与えられる人間的な優れた価値は、寮生活を送った全てのOBにとって、人生の大きな財産となっています。
やはり、寮生活の基本原則に、聖書研究会を継続的に行い、その参加が全寮生の義務となっていることは、当寮の優れた精神的な伝統を形成する大きな要因となっていることを、私は大変誇りに思っております。

なお、YMCA一橋寮が

長年の歳月の中で老朽化したことから、2020年の春に、寮舎を全面的に大改修し、また、YMCA一橋ホールを新しく建設することができました。

特に、YMCA一橋ホールでは、講演会やコンサートあるいは小集会を開催し、リベラル・アーツを寮生及びOBが共に学ぶことが出来る拠点を持つことが出来ましたことは大変大きな意義があると存じます。
コロナ問題から十分活かし切れてはおりませんが、オンラインを併設活用することにより、今後、このホールの利用を積極的に進めて参りたいと考えております。

また、2022年10月には、寮舎の土地の一角にある当会OBの戸建て住宅をシェアハウスとして、女子寮を開設致しました。今後、女子寮の運営がどのように展開され、男子寮との交流を含めて、大変楽しみでもあり、かつまた意義のあることであると考えております。

今後とも皆様方の温かいご支援をお願い申し上げます。 国立市の近郊

2022年11月
公益財団法人 一橋大学基督教青年会 理事長
齋藤金義





一橋大学YMCA寮